コラム:みなし残業を超えた時間分の給与の計算方法や請求方法とは?
投稿日 : 2019.10.16
みなし残業ではあるけれど、毎月それ以上に残業している気がする…。
そう感じているなら、本来は貰えるはずの残業代を、貰っていない可能性があります。
本記事では、みなし残業を超えた時間分の給料の計算方法をお伝えすると共に、支払いを受けていない残業代(未払い残業代)を請求する方法についてお伝えしていきます。
目次
みなし残業とは、固定給の中にあらかじめ定められた残業代を含む制度です。
例えば、1カ月のみなし残業を30時間、5万円としたようなケースでは、残業時間が30時間未満であっても同じ額が支払われます。
一方、あらかじめ定められた残業時間を超えた分については、通常の方法で残業代が支払われることになります。
みなし残業時間以上の残業をした場合、残業代の支給を受けることは可能なので、安心してください。
なお、過去にみなし残業時間以上の残業をしたのにも関わらず残業代の支払いを受けていない場合は、2年間まで遡って請求することが可能です。
では、みなし残業時間を超えた場合、残業代はどのように計算されるのでしょうか。会社側に請求する際の予備知識として持っておくといいでしょう。
まず、基本給を計算しましょう。
基本給は、以下の計算式で求めることができます。
基本給=月給-固定残業代-その他手当
例えば、基本給30万円(みなし残業代5万円、住宅手当1万円含む)といった内容の場合、基本給は以下のようになります。
30万円(月給)-5万円(固定残業代)-1万円(その他手当)=24万円
次に、本来の残業代を求めます。
時間外労働については基本給の時給に1.25倍を掛けることになっているため、以下のように計算することで求められます。
本来の残業代=基本給÷(労働日数×8時間)×1.25×残業時間
STEP1で計算した基本給24万円、労働日数20日、残業時間40時間の場合、以下の通りです。
24万円÷(20日×8時間)×1.25×40時間=7.5万円
最後に、固定残業代以外の残業代(未払い残業代)を計算します。
未払い残業代を求める計算式は、以下の通りです。
未払い残業代=本来の残業代-固定残業代
例えば、本来の残業代が7.5万円、みなし残業代が5万円だった場合、以下のようになります。
7.5万円-5万円=2.5万円(未払い残業代)
この場合は、2.5万円の残業代を請求できます。
未払い残業代があることを証明するには、証拠が必要になります。
裁判や未払い残業の請求時に必要となることがあるので、準備をしておいてください。(特に退職後は、就業規則などが閲覧できなくなってしまう可能性もあるので、事前にプリントアウトしておくなどの対策が必要です)
就業規則や雇用契約書など、みなし残業の時間や金額が明記されている書類を用意しましょう。
そもそもみなし残業が何時間か分からなければ未払い残業代を計算することができません。
なお、こうした書類を企業が発行していない場合、みなし残業そのものが労使協定で合意されていないということになり、残業時間すべてを未払い残業代とできる可能性もあります。
先ほどの例で言えば、みなし残業が認められる場合の未払い分は2.5万円ですが、みなし残業が労使協定で合意されていない場合の未払い分は7.5万円になります。
1日何時間ずつ残業したのかを分かる書類が必要です。
タイムカードがあれば一番よいですが、ない場合には業務中に送ったメールや、就業時間の最後に送付する日報などが証拠になります。
なお、毎日の出勤、退勤時間を自分で記録してメールで送っておくといったものでも証拠になる可能性があるので、可能な範囲で記録しておいてください。
毎月、みなし残業代としていくら支払われていたかを確認するために、給与明細は必ず保存しておいてください。
遡って数カ月分請求する場合には、対象月分の給与明細があることが望ましいです。
なお、給与明細にみなし残業のことが記載されていない場合にも、みなし残業そのものが無効となる可能性があります。
未払い残業代を計算し、証拠となる書類を集めたら、具体的に請求する行動を起こしましょう。
ここでは、3つの方法をお伝えします。
まずは、「未払い残業代が○○円になったので、これを請求します」といったことを記載した請求書を郵送で送ることから始めるとよいでしょう。
送付する時は、単なる請求書ではなく、書いた内容を郵便局が証明してくれる内容証明郵便で送ることをおすすめします。
なお、「請求しても無視されそう」といった恐れがある場合には、弁護士に相談して、弁護士名で請求してもらうと、企業の対応が変わるはずです(裁判沙汰になることは、どの企業でも避けたいですからね)。
労働基準監督署に報告するのも一つの方法です。請求書を内容証明で送るのと同時並行で行ってもよいでしょう。
企業としては、労働基準監督署に目をつけられると何かと大変な思いをするため、早期解決しやすくなります。
もちろん、「お世話になった思いがある」というのでれば、弁護士や労働基準監督署を使わず、自分で請求書を送るだけでも構いません。
企業側の対応を見ながら、こちらの行動を変えていくとよいでしょう。
弁護士名で請求書を送っても対応してくれないようであれば、最終的には裁判ということになります。
しかし、裁判となると費用も手間もかかります。
そこでおすすめなのが労働審判と呼ばれる制度の利用です。
労働審判は労働問題の解決を目的とする裁判所の手続きで、裁判だと1年ほどかかるのに比べ、平均2カ月強で解決することができます。
参考:労働審判制度について(厚生労働種):平均審理期間は74.8日
みなし残業制度を採っている企業の中には、残業時間が多いのにも関わらず、残業代が支払われていないケースがあります。
こうした企業では、タイムカードが用意されていないこともありますが、メールを送った時間などで残業時間を計算することは可能です。
今働いている企業で未払い残業代のある可能性がある方は、まずは計算してみてはいかがでしょうか。
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