コラム:ウッドショックはどう見るべき?ハウスメーカーや工務店への転職事情
投稿日 : 2021.06.30
前回、新型コロナウイルスによるハウスメーカーへの影響を取り上げました。
【2021年新設住宅着工戸数前年度比8.1%減】ハウスメーカーへの転職ってどうなの?
今回は、今年になり表面化が進んでいるウッドショックについてご紹介したいと思います。
目次
ウッドショックは今年に入って輸入木材が高騰している事象のことです。
日本の木造住宅の多くは輸入木材を多用しており、輸入木材の高騰により住宅価格の値上げに踏み切らざるを得ない事業者が増えてきています。
ウッドショックは以下のようなことが原因で発生していると言われています。
そもそもウッドショックは昨年頃からアメリカや中国を中心にすでに起こっていたことでした。
日本においても新型コロナウイルスの感染拡大でリモートワークが広がり、住宅需要が活発化していることもあり、需給のバランスが崩れて、2021年3月頃より日本国内でも建築資材の価格が上昇してしまっているのです。
ウッドショックは現在のところいつ収まるか見通しが立っていません。
過去にも何回か輸入木材の高騰に見舞われたことがありましたが、いずれも供給側の問題でした。
しかし、今回は需要に対して供給が追い付いていない状況であり、先行きが見えないのです。
こうした状況の中、ハウスメーカーや工務店に転職した場合、どのような対応に迫られる可能性があるのでしょうか。
ハウスメーカーや工務店の中には、住宅に使う木材を輸入木材から国産木材へ転換する動きをしている会社もあります。
ウッドショックは輸入木材の価格が高騰していることが原因であり、これを国産木材に切り替えることで問題を乗り切るというわけです。
ハウスメーカーや工務店に建築職としての転職を考えている方は、国内の木材卸業者へ見積もりを取って回るといった仕事をする可能性があるでしょう。
なお、地方の工務店の中には、もともと地場の木材を使っていることをウリにしているようなケースもあるでしょう。
こうした工務店であっても、輸入木材を全く使っていないということはあまり考えられませんが、大手ハウスメーカーと比べると影響が少ない可能性があります。
ただし、国内のハウスメーカーや工務店が国産木材への転換を進めていくと、国産木材の価格にも影響が及ぶ可能性はあるでしょう。
輸入木材の高騰を受けて、販売する住宅の価格に転換するハウスメーカーや工務店もあるでしょう。
特に販売力のある大手ハウスメーカーなどはすでにこうした動きを見せている会社もあるようです。
参考:日本経済新聞 大和・積水が住宅値上げ ウッドショック、日本に余波
現在のところ、ウッドショックの影響により「毎月値上がりする」という状況となっており、「7月の契約なら30万円上乗せ」、「8月の契約なら60万円上乗せ」といった提案をしているケースも見られます。
なお、地方工務店の場合、木材価格の値上げを住宅価格に転換すると、住宅を売れなくなる可能性もあるため、ハウスメーカーほどの値上げには踏み切れていないことが多いようです。
現在のところ、泣く泣く自社の利益を削っているといったところでしょうか。
しかし、自社の利益を削ってしまうと将来的には倒産につながってしまうことも懸念されます。。
今回のウッドショックのように、木材価格が高騰してしまうことは過去にもありました。
今回のウッドショックも先行きが見えないとはいえ、いずれは落ち着くはずです。
そもそも、地方の工務店の中には木材を確保できず契約に着工できないという事例も出てきています。
こうしたこともあり、お客様に対して契約時期の見送りを提案する可能性も出てくるでしょう。
営業としては、一度契約時期の先送りをしてしまうと、次に自社で契約して貰えない可能性があります。
こうしたお客様に対して、長期間に渡る信頼関係を築き、ウッドショックが落ち着いた頃に再度提案して契約してもらうといったことも求められることになるでしょう。
2021年になりウッドショックが深刻化しており、ハウスメーカーや工務店は価格の値上げや契約の先送りといったことも考えざるを得なくなっています。
とはいえ、過去にも輸入木材の高騰は起こっており、今回のウッドショックもいずれは収まるでしょう。
現在ハウスメーカーや工務店への転職を考えている方は、可能であれば、面接の場ではないところで転職先の社員の方などに、ウッドショックに対する対応や会社の状況など確認してみることをおすすめします。
新型コロナウイルスによる需要落ち込みの回復が見られたところでウッドショックが起こり、住宅業界も大変な状況ですが、そもそもウッドショックは住宅需要の高まりが原因でもあります。
新型コロナウイルスやウッドショックが落ち着いた後は、これまで以上に住宅業界が活発化する可能性は十分にあるといえるでしょう。
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