コラム:地下げって何?借地権に関する基礎知識や地下げ事業の仕組みをご紹介
投稿日 : 2020.02.26
不動産関係の仕事への転職を考えている方の中で、「地上げ」については知っていても「地下げ」について知っている方はそう多くないのではないでしょうか。
不動産会社の中にはこの「地下げ」をすることで利益を上げている会社もあるため、業界的な構造を知る上でも知っておいて損はないでしょう。
本記事では「地下げ」について解説していきます。
目次
まずは地下げとはどのようなものか見ていきましょう。
地下げの意味について理解するにあたり、まずは地上げの意味を確認しておきましょう。
地上げとは不動産会社や住宅会社、デベロッパーなどが用地確保のために地権者と交渉する行為のことです。
地上げには自社のために行うものと顧客からの依頼に基づいて行うものがあり、お客様からの要望に応じて、マンションや事務所、工場等の用地を買収します。
その規模に応じて、物件リサーチや価格交渉するだけのものから、権利関係を調整したり、借家人に立ち退き交渉したりさまざまなことをする必要があるものもあります。
地上げについては以下の記事で詳しく解説しています。
地上げとは?地上げについてその仕組みを解説します
一方、地下げとは土地の所有者が地主、建物の所有者が借地人の場合に、その借地人に土地を買い取ってもらうことを指します。
ちなみに、同じ状況で地上げをする場合、「立ち退き交渉(お金を使ったり、時には威嚇したり)して借地人に出ていってもらう」ことになります。
ときには借地人が意図的に建物に居座り、土地を安く買い叩くことを目的にしていることもあります。
このことを理解するためには、借地借家法について知っておく必要があるでしょう。
土地の上に建物を建てることを目的として土地を借りる場合、借地借家法の適用を受けて借地権が設定されます。
この場合、契約期間を定めなかった場合は契約期間30年、契約期間を定める場合は最低30年以上の期間で定めることとなっています。
なお、平成4年7月31日以前に結ばれた借地契約では契約期間を定めなかった場合、建物が「堅固建物」であった場合60年、「非堅固建物」であった場合30年になります。
また、契約期間を定めた場合は「堅固建物」の場合で30年以上、「非堅固建物」の場合で20年以上の契約期間を定めることとされています。
法令 | 適用期間 | 期間あり | 期間なし | |
借地借家法 | 平成4年8月1日以降 | 30年以上 | 30年 | |
借地法 | 平成4年7月31日以前 | 堅固建物 | 30年以上 | 60年 |
非堅固建物 | 20年以上 | 30年 |
上記通り、建物の所有を目的とした借地契約を結ぶと20年、もしくは30年以上の契約期間を設定することになり、地主はその間土地を自由に使うことができなくなります。
また、長い契約期間が終了した後も、借地契約には「法定更新」があり、地主からの「更新拒絶」等の通知がない限りお互いの合意がなくとも契約の更新がなされることになっています。
また、地主側から「更新拒絶」する場合には地主側に更新拒絶するだけの正当事由が必要とされています。
先述の通り、借地契約は借地人に有利な内容となっていることから、借地権の設定された土地は売買が難しく、借家人が通常より安く土地の所有権を買い叩くことがあります。
不動産会社の中には、こうした仕組みを利用して地下げで利益を上げている会社もあります。
地下げは通常の土地価格より安い価格で所有権が売買されることから、その差額を利益にする事業です。
こうした仕組みを利用して利益を上げる方法の一つとして、以下のような事業を行っている会社があります。
不動産会社としては、7割程度の価格で底地を購入し、相場通りの価格で借地人に売却すれば差額の3割分が利益となります。
ちなみに、借地人が底地を買わない場合には立ち退き交渉をしてマンション販売会社などに売却します。これは通常の地上げと同じ仕組みです。
借地など権利関係の専門知識や立ち退き交渉のスキルなど高度な知識・経験が求められる事業だといえるでしょう。
地下げについて、その仕組みや地下げを利用した事業に取り組む不動産会社についてご紹介しました。
一般的な不動産会社への転職を考えている方にとって、やや高度な内容ではありますが、不動産を取り扱うのであればこうした知識について一通り知っておくと、転職後に重宝される人材になることができるでしょう。
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