コラム:みなし残業とは?仕組みやルール・メリットを解説
投稿日 : 2019.10.15
求人情報の給与の項目に、「みなし残業」と書かれていることを見たことがある方も多いと思います。
このみなし残業について、何となくは分かっていても細かな仕組みやルールまで知っているという方は、少ないのではないでしょうか。
そこで本記事では、みなし残業について仕組みやルール、メリットなど解説していきます。
みなし残業とはどのようなものなのでしょうか?まずは、みなし残業の仕組みについて解説していきます。
みなし残業とは、簡単に言えば「残業代があらかじめ固定給に含ませておく制度のこと」です。
例えば、雇用契約書に「みなし残業30時間を含む」などと書かれている場合、月の残業時間30時間までは、固定給に含まれており、残業代を請求することができません。
そもそも法律上は、「みなし残業」という言葉は存在せず、「みなし労働時間制」や「定額残業代」のことをみなし残業と呼んでいます。
この内、みなし労働時間制とは実際の労働時間に関わらず「一定の労働時間を働いたものとしてみなす」ことです。
営業職のように、一日中顧客回りをするような職種では労働時間を正確に把握することが難しいことから、この制度の採用が認められています。
以下、これらの仕組みについて詳しく見ていきましょう。
先法律的観点からするとみなし残業には2つの種類があります。
「みなし労働時間制」に基づくものと、「定額残業制」に基づくものです。
それぞれ見ていきましょう。
みなし労働時間制は、正確に労働時間を把握するのが難しい営業職などに適用されるものです。
また、研究職やソフトウェア開発者など、労働時間で賃金を決めることがなじまない職種も適用対象に含まれます。具体的には以下の3形態が対象です。
みなし労働時間制では、労使協定で1日何時間労働するかが決められます。
例えば、労使協定で合意された時間数が8時間以上となる場合は、合意された時間と8時間との差が、みなし残業時間となります。
1日10時間で労使協定を合意した場合は、2時間が1日のみなし残業時間となります。
なお、1日4時間残業したとしても、定時(8時間労働)で帰った日でも、賃金計算上は2時間のみなし残業をしたものとして扱われます。
そのため、月の所定労働日数が20日の場合、2時間×20日=40時間分の「みなし残業代」が固定で支給されます。。
定額残業制とは、基本給の中に一定の残業代が含まれているとみなす制度です。
みなし労働時間制は適用対象の職種が限定されているのに対し、定額残業制は全ての労働者が適用対象になる可能性があります。
雇用契約書に「基本給30万円(うち5万円をみなし残業代とする)」と書かれていたり、「基本給30万円(うち30時間分の残業代含む)」などと書かれたりしているものがこちらに該当します。
それでは、みなし残業にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
みなし残業のメリットは、給与の中に固定で残業代が含まれているため、仕事を早く済ませて帰ったとしても、みなし残業代分は給与として貰えるということです。
労働者側からしたら早く終わらせる意欲がわきますし、会社側としても労働時間の短縮や残業代(コスト)の削減につなげることができます。
一方、デメリットとしては、みなし残業として設定されている時間に達するまで残業代が支払われないことが挙げられます。
また、みなし残業を設定しているということは、みなし残業時間分以上の残業が発生する可能性を示唆しているとも捉えられます。つまり、「みなし残業の時間分くらいは残業がある」ことを会社側が想定していることになります。
みなし残業は、時にはサービス残業の温床となってしまうことがあります。
こうしたことを防ぐためにも、みなし残業には以下のようなルールが定められています。
まず、給与の支払いにみなし残業を含まれていることは、個別に口頭で伝えるだけではだめで、書面で通知するなどして従業員に周知されている必要があります。
就業規則等にみなし残業について書かれていない場合は、労使協定で合意されていない可能性があります。
雇用契約書等で、固定残業代と残業時間を明確に記載する必要があります。
例えば、「月給30万円(みなし残業を含む)」だけではみなし残業は認められません。
「月給30万円(うち30時間分をみなし残業時間とし、5万円支給する)」というように、時間数と金額の両方が明記されていなければなりません。
みなし残業時間には、特別に上限が定められているわけではありません。
しかし、36協定では1カ月に45時間(または60時間)を超えて残業してはいけないことが定められており、これを超えると法律に違反している可能性が高いです。
また、みなし残業とはいえ残業をすることには違いがありません。
このため、みなし残業分については時間外労働(1.25倍)として計算する必要があります。
この金額が、最低賃金を下回っている場合、法律違反となります。
例えば、東京都の最低賃金は令和元年10月1日より1,013円になっています。そのため、1,013円×1.25=1,266.25円を下回っている場合は法律違反となります。
仮に40時間のみなし残業を含むのであれば、40時間×1,266.55円=50,650円となります。
このことから、東京都において「みなし残業時間40時間を含み、5万円を支払う」という内容であれば違反していることになります。
また、みなし残業を除いた基本給部分も最低賃金を下回らないか確認しましょう。
例えば、月給23万円(みなし残業代8万円)となっていた場合、みなし残業を除いた基本給部分は15万円となります。
東京都の最低賃金は1,013円となりますが、1日8時間、20日働くのであれば、1,013円×8時間×20日=162,080円ですので上記は違反となることが分かります。
みなし残業としてあらかじめ合意した残業時間を超えて働いた分については残業代の支払いを受けることができます。
例えば、月に30時間のみなし残業と定められているのであれば、それを超えて働いた分について、残業代の支払いがなされないと違反となります。
なお、月の残業時間が30時間より少なかった場合に、みなし残業代が減額されることはありません。
みなし残業は、あらかじめ定められた残業代を固定給として支払いを受けられるもので、短い時間で働くインセンティブになるという点でメリットがあります。
一方、会社によっては「残業代は固定給として支払っている」という意識になりがちで、サービス残業の温床になることもあります。
求人情報にみなし残業代と労働時間がしっかり明記されているかどうかなど、しっかりルールに則った運営がされているかを確認したうえで応募するかを決めるとよいでしょう。
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