コラム:円安が不動産業界に及ぼす影響とは?
投稿日 : 2022.04.14
アメリカの利上げなどを原因として、2022年3月頃より円安が進んでいます。
今後もこの傾向は進む可能性がありますが、円安が進むと、不動産業界にはどのような影響が及ぶのでしょうか。
本記事では、一般的な経済の仕組みを前提として、円安が不動産業界に及ぼす影響について見ていきたいと思います。
目次
まずは、3月から日本で円安が進んでいる背景について、簡単におさらいしてみましょう。
2022年3月15日・16日に開かれたFOMCにおいて、アメリカは政策金利を0.00-0.25ptから0.25-0.50へと引き上げる決定をしています。
次に、3月17日・3月18日に行われた日本の金融政策決定会合において、日銀の黒田総裁は金融緩和を維持することを発表しました。
日本が緩和政策を維持することになれば、日米の金利差はより拡大し、今後さらに円安が進む可能性があります。
なお、アメリカでは2022年中に7回の利上げが予定されており、次回のFOMCは5月3日・4日です。
アメリカの利上げのスケジュールと、日本の緩和政策への姿勢を今後も追っていくことが重要だといえるでしょう。
今後、円安が進むと不動産業界にはどのような影響が及ぶのでしょうか?
まず、円安が不動産業界に及ぼすいい影響としては、円の価値が下がることで海外の方から日本の不動産が割安だと判断されて、購入される可能性が高くなるといったことが挙げられるでしょう。
日本全体からみると、海外の富裕層などに日本の不動産が買い進められるのはあまりいい状況とはいえないかもしれませんが、民間の不動産会社にとっては、これはビジネスチャンスだといえます。
海外の顧客に対応できる人的資源などを持つ不動産会社などは、大きく成長する可能性があるといえます。
次に、円安が不動産業界に及ぼす悪い影響について見ていきたいと思います。
まず、日本の木造住宅などは多くを輸入木材に頼っており、これによりウッドショックが起こったことなどは記憶に新しいでしょう。
円安が進むことで、輸入木材の価格が上がり、住宅の建築価格が上昇してしまう可能性があります。
その他、住宅やマンションには木材に限らずさまざまな輸入材が使われており、これらの原材料費が上がることも考えられるのです。
転職先の不動産会社を選ぶときは、国産の素材を多く利用しているか、もしくは今後そちらにシフトしていくことを考えている会社を選ぶというのも一つの判断基準として考えてみるのもよいでしょう。
そもそも、円安は日本経済にとってプラスなのでしょうか、マイナスなのでしょうか。
円安が進むと、特に日本の輸出産業は大きく業績を伸ばす可能性があります。
日本は自動車業界などが強く、この点において、円安が進むことで日本全体の経済が活性化される可能性があるでしょう。
しかし、特に昨今の経済状況においては、円安は日本経済に悪い影響を及ぼす「悪い円安」であると説明されることが多いです。
というのも、円安が進むことで原油や各種原料の価格が高騰し、そのほとんどを輸入に頼る日本にとっては大きなマイナスとなることが考えられるからです。
また、輸出企業にとっても、そもそも海外の現地に工場を設けていることが多く、この場合円安によるプラスの影響は限定的となります。
あまり現実的ではありませんが、アメリカが今後も継続して利上げしていく中、日本も追従して利上げを検討していく可能性もあります。
この場合、不動産業界にはどのような影響が考えられるのでしょうか?
金利の利上げで起こることとしては、ローンの金利が上がることが想定されます。
個人に対して住宅やマンションを販売する会社にとっては住宅ローンの金利上昇が、事業者に対して投資用物件を販売する会社にとってはアパートローンの金利上昇が見込まれるでしょう。
金利が上昇してしまえば、ローンを組むことが難しくなり、売上が落ちてしまう可能性があります。
現状では、日本の利上げはあまり現実的ではありませんが、米国が実際に利上げに踏み切ったこともあり、先行きが不透明です。
これから不動産業界に転職して、お客様にローンを提案するという方は、固定金利を提案するのがおすすめだといえるでしょう。
ローンの金利タイプについては、以下記事で詳しく解説しています。
円安が不動産業界に及ぼす影響についてお伝えしました。
円安というと、輸出や輸入に取り組む企業が主で、不動産会社への影響は少ないと考える方も多いかもしれませんが、本記事でお伝えしたとおり、さまざまな側面から影響が及ぼされる可能性があります。
これから不動産業界への転職を考えている方や、すでに不動産業界で働いている方は、アメリカと日本の金融政策など情報を追って、お客様への提案に活かすなどされることをおすすめします。
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