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コラム:2022年に改正された不動産広告の距離表示をわかりやすく解説

投稿日 : 2022.11.16

2022年に改正された不動産広告の距離表示をわかりやすく解説

2022年に改正された不動産広告の距離表示をわかりやすく解説

2022年9月1日より不動産広告の距離表示が大きく変わりました。従来の不動産広告のままだと、おとり広告としてみなされてしまうおそれがあるため、注意しなければいけません。
この記事では、法改正で何が変わったのか解説するとともに、その他不動産広告で注意すべき点について解説します。

不動産広告の距離表示をわかりやすく紹介

2022年9月1日より、不動産広告の距離表示に関する関係法令が改正されました。主な改正点は以下のとおりです。

  • 物件の起点
  • 区画・号棟ごとの計測
  • 通勤所要時間の表示

不動産広告の距離表示は、これから不動産の賃貸借契約や購入を検討している消費者が検討するうえで重要です。そのため、万が一違反した場合はおとり広告として処罰対象になり得ます。まずは、今回の改正で何が変わったのかについて詳しく解説します。

物件の起点

これまでは、物件のもっとも近い部分から各公共交通機関や各種施設(小学校・中学校や商業施設など)までの距離を掲載すれば問題ありませんでした。

改正に伴って物件のもっとも近い部分ではなく、建物の出入口を起点とした距離を記載することになりました。なお、入居者が利用できるサブエントランスのような出入り口が設置されている場合は、その部分を物件起点として計測することも可能です。

区画・号棟ごとの計測

これまでは、販売対象区画のもっとも近い住戸から対象施設までの距離や所要時間の表示で問題ありませんでした。しかし、今回の改正でもっとも近いところに加え、もっとも遠い住戸の距離や所要時間も必要となります。

たとえば、A・B・C・Dという4つの物件が同一区画にあった場合、従来であればもっとも近い(仮にA棟として)A棟から各種施設までの距離や所要時間を表示すれば問題ありません。しかし、改正後はA棟からの距離に加え、もっとも遠い(仮にD棟として)D棟の距離や所要時間を表示する必要があります。

例 ○○駅まで400mから800m
  ○○駅まで5分から10分

通勤所要時間の表示

通勤所要時間の表示にも変更が加えられました。具体的には、通勤ラッシュ時の所要時間の明示が必要になり、加えて通常時の所要時間も併記できるようになりました。

例 ○○駅から○○駅まで快速で30分
  ※通常時は快速で20分

また乗り換えが必要なときは、乗り換えにおおむね要する時間を所要時間に含める必要があります。

例 ○○駅から○○駅まで30分~35分
  ※○○駅で○○線に乗り換え
  ※上記所要時間には乗り換え・待ち時間が含まれています

違反した場合はおとり広告になる可能性

不動産広告の距離表示に違反した場合は、おとり広告として処罰対象になるおそれがあるので注意しましょう。万が一、違法性が認められておとり広告になった場合は、以下のような処罰を受ける可能性があります。

  • 厳重警告
  • 違約金の発生
  • 賠償金の発生
  • 契約の取り消し

特に、不動産における距離表示は、その物件を契約するか否かを検討するための判断材料となる重要な部分です。そのため、改正内容をしっかり把握し、正しく広告する必要があります。

距離表示以外に知っておくべき不動産広告

これから不動産業界に入る方は、不動産広告について距離表示以外にも以下の点に十分注意してください。

  • 誇大広告(おとり広告)の禁止
  • 取引態様の明示
  • 広告開始時期の制限
  • 表示の基準
  • 用語の使用

誇大広告(おとり広告)の禁止

不動産広告を出す際は、室内の広さを誇大したりその周辺環境や交通などの情報を誇大したりすることが禁じられています。

事実を伝えるのは当然ですが、誇大かどうかの感じ方は人によって異なります。そういった際の基準となるのが、事実とどの程度隔離しているか、消費者に対して誤解を与えないかによって判断されます。

たとえば、室内の広さが広告よりも数m²小さかった場合、誤差の可能性も否定できないため誇大広告とはいえません。しかし、実際の室内よりも数十〜数百m²も異なる場合は、明らかな誇大広告となるため許されません。

取引態様の明示

不動産の取引をする場合は、当事者間で契約をする場合もあれば不動産会社を介して手続きを行う場合もあります。

不動産会社は契約を締結する前に、どのような取引態様で手続きを進めていくのかを明示しなければいけません。これは、取引態様によって不動産会社が受領できる報酬や、受領の仕方などが異なるためです。取引態様は以下の3種類です。

  • 自己取引
  • 代理取引
  • 媒介

あらかじめ取引態様を明示することで、顧客にとって不利な取引が行われないようにしています。

広告開始時期の制限

未完成の不動産を広告として出す場合は、建築をするために必要となる許可や建築確認が完了したあとでなければ広告はできません。

これに関してはあまり深く考えずに、販売や賃貸に出すことが不確定の場合には、広告できないと考えてきましょう。

表示の基準

不動産取引における表示事項は、宅地建物取引業法のほかにも表示規約によって厳しく定められています。宅地建物取引業法では、前述のとおり不動産広告に関する具体的な内容や禁止事項が明記されています。一方、表記規約に記載されているのは、主に広告に記さなければいけないことなどです。

たとえば、物件情報のみならず周辺環境や各公共交通機関、小中学校や商業施設までの距離などの情報が必要不可欠です。また、各施設までの距離と徒歩分数を広告する場合は80メートル=1分で計算をしなければいけません。さらに、広告を出す際の文字の大きさまで細かく定められています。

用語の使用

不動産の取引は人々が生活をするうえで必要不可欠なものですが、一般の方には難しい言葉がたくさんあります。そのため、不動産広告を行う際は、消費者に対して誤解を与えかねない用語の使用は避けたり言い換えたりする必要があります。

たとえば、「完売」「売れ行き好調」など、すぐに購入を決めなければなくなってしまうと誤認させてしまうような場合は注意が必要です。

また、「当社だけ」「日本一」など、特別感を演出させて誤認されてしまうおそれがある用語も注意しなければいけません。無論、その用語を使う根拠がある場合は問題ではありません。あくまでも、消費者を誤認させてしまうような用語を使用する際は注意が必要になるということです。

まとめ

2022年9月1日より関係法令の改正に伴い、不動産広告の距離表示が変わりました。実務上で特に重要なのが、施設や公共交通機関までの所要時間や起点となる場所ごとの計測です。

上記改正に伴い、これまでの不動産広告のままだと誇大広告とみなされてしまう可能性があります。万が一、誇大広告やおとり広告とみなされてしまった場合は、処罰を受けるおそれがあるため注意しましょう。

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