コラム:瑕疵担保責任って何?基礎知識や2020年の法改正について解説
投稿日 : 2020.01.17
不動産の取引では「瑕疵担保責任」という言葉がでてきますが、「瑕疵」とは何を指す言葉で、どんなときにどのような責任を取る必要があるのでしょうか。
本記事では瑕疵担保責任についての詳細や責任追及期間等お伝えするとともに、2020年4月に予定されている民法改正についてもご紹介します。
目次
瑕疵担保責任とは売却した不動産に何らかの欠陥があったときに、売主が買主に対して負う責任のことです。
ここでは、瑕疵担保責任について基本的な内容を確認していきたいと思います。
そもそも瑕疵とはどのような意味を持つ言葉なのでしょうか。
瑕疵とは、「通常すべき品質・性能を有しないこと」を指します。
住宅における瑕疵としては、例えば家の中にいれば雨を防げるという性能があるのは当たり前のことと想像しますが、何らかの欠陥により雨漏れしてしまうような状況を瑕疵があると表現します。
なお、不動産取引における瑕疵担保責任では、瑕疵が隠れている必要があります。
つまり、取引時点で「通常の注意を払っても発見できない」瑕疵があった場合に瑕疵担保責任を負うこととされており、注意すれば分かるような瑕疵や、取引前に売主から買主に伝えた瑕疵については瑕疵担保責任を追及されないことになります。
瑕疵は大きく以下の4つに分類することができます。
瑕疵担保責任は、不動産取引後、売主が買主に対して負う責任ですが、いつまでも瑕疵担保責任を負う必要があるとすると、売主が安心して取引できなくなってしまいます。
このため、瑕疵担保責任には責任追及期間が定められています。
まず、民法における瑕疵担保責任の責任追及期間は「瑕疵があることを知ってから1年以内」となっています。
しかし、「瑕疵があることを知ってから」だと、例えば不動産を引き渡してから10年後に瑕疵を知る可能性もあるため、売主が売却後、いつになっても安心できないことになってしまいます。
そこで、不動産取引時には「不動産を引き渡してから〇年以内」などと特約を定めるのが一般的です。
「不動産と引き渡してから」であれば、引き渡し後指定の期間が経過した後は、売主が責任を追及されることはなく、安心することができます。
宅建業法では、売主が不動産会社である取引の場合、「不動産取引のプロだから」という理由でいくつかの規制が設けられています。
その内の一つに、瑕疵担保責任の責任追及期間を「引渡しから2年以上とする」ことが定められています。
また、売買する物件が新築住宅の場合、売主は買主に対して10年以上の瑕疵担保責任を負わなければならないとされています。
なお、10年以上と長期間にわたることもあり、その間に住宅を新築した会社が倒産している可能性があることも考慮し、牛塗りは保険への加入や保証金の供託が義務付けられています。
売主が個人の場合は上記のような制限はなく、「瑕疵担保責任を引き渡しから3カ月とする」と言った特約も可能です。
また、「瑕疵担保責任を免除とする」こともできます。
ただし、瑕疵担保責任を免除したとしても、売主が瑕疵があることを知りながらそれを伝えなかった場合には、瑕疵担保責任を追及されることになります。
瑕疵担保責任は民法で規定された、売主から買主に対する責任ですが、2020年4月に民法が改正され、瑕疵担保責任は契約不適合責任へ変わることになります。
瑕疵担保責任と契約不適合責任は基本的な部分は同じなのですが、いくつか異なる部分もあります。
その中でも大きな違いは以下の2つです。
それぞれについて見てみましょう、
瑕疵担保責任では、「契約解除」と「損害賠償請求」しかできませんが、契約不適合責任ではこれに加えて「追完請求(修補請求や代替物の引渡し)」、「代金減額請求」が可能となります。
瑕疵担保責任では、隠れた瑕疵に対してのみ責任を追及されますが、契約不適合責任においては契約の内容に対して不備がないかが見られ、欠陥が隠れているかどうかは関係がありません。
このため、より契約書に記載の内容が重要となることになります。
瑕疵担保責任は取引前に売主から買主に伝えていた内容については責任を追及されないこともあり、仲介業者としては、売主に対して「どこまで伝えればよいか」を適切にアドバイスすることが求められます。
不動産会社への転職を考えている方は、本記事を参考に瑕疵担保責任についての理解を深めておくとよいでしょう。
また、2020年4月からは瑕疵担保責任から契約不適合責任に変わりますが、法律の改正について「知らなかった」ということのないよう、しっかり勉強しておくことをおすすめします。
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