コラム:建設業界の労働環境は?国による取り込みとこれからの変化について
投稿日 : 2019.05.23
かつては「3K(きつい、汚い、危険)」と言われてきた建設業界。働き方改革が叫ばれている昨今、実態はどうななっているのでしょうか。
建設業界には興味はありつつも、労働環境のブラックさが気になるという方も少なくないでしょう。
今回は建設業界の働き方の実態と、どのように変わりつつあるのかを紹介していきます。
目次
まずは建設業界の労働環境について、他の業界と比較しながら見ていきましょう。
建設業界の労働時間は、年間2,056時間というデータがあります。2007年からの推移を見ると、直近で最も労働時間の長かった2014年が2,080時間だったのに比べれば、減少傾向にあると言えます。
しかし、全産業の2016年の労働時間が、1,720時間であることを考えると、いかに建設業界の労働時間が長いかが分かるでしょう。
また、全産業では2007年時点が最も長く1,807時間で、それからは右肩下がりなのに対し、建設業界は増減を繰り返しており、全体のトレンドに反しています。
出勤日数にしても、全体が2007年から2016年にかけて233日から222日に減っているのに対し、建設業界は256日から251日になっているだけです。もともと出勤日数が多いことに加え、減っている割合も少なく、出勤日数が多いという印象は否めません。
単純に労働時間が長いことも問題ですが、業界として働き方を改善しようという動きが見られないことも、大きな問題と言えます。
半数以上の企業が4週4休以下というデータがあります。つまり、建設業界の半数は休日が週に1日、またはそれ以下ということになります。4週8休、つまり週休2日を取り入れている企業は、全体の1割しかいません。
2000年から2015年までの間、全職種の有効求人倍率が1倍を超えることはありませんでした。しかし、建設業界では、ほとんどの職種が1倍を超えて推移しており、2倍、3倍を超える年も少なくありません。
さらに、建設業界の一部の触手に関しては、リーマンショックの不景気の時ですら、1倍を超えています。常に人材不足にさらされている業界だと言えるでしょう。
※参考:国土交通省「建設業における働き方改革について」、厚生労働省「建設労働者を取り巻く状況について」
そんな建設業界の労働環境を見かねて、国土交通省は2018年3月に、「建設業働き方改革加速化プログラム」を発表しました。いったいどのようなプログラムなのでしょうか。
プログラムの目的は、これから深刻化する少子高齢化の時代、そして団塊の世代が大量に業界から去ることによる、さらなる人材不足に備えるためです。
建設業界の労働環境を他の業界水準まで引き上げることで、建設業界への人材流入アップを図ることが目的です。
制度には3つの大きな柱があります。
先述した、建設業界の長時間労働を解消することはもちろん、技能に合わせた給与が与えられることや、ICTの導入により生産性を向上することとしています。
では、建設業働き方改革加速化プログラムが、業界に浸透されていくことで、具体的にどのような変化が期待できるのか見ていきましょう。
最も分かりやすいのが、週休2日制が導入されることです。今や世間では当たり前の週休2日制を、建設業界でも、当たり前にするよう、業界全体に働きかけています。
しかし、単に労働時間を短縮するだけでは、そのしわ寄せは下請け企業が負担することになります。そうならないよう、必要経費の計算方法を見直し、正当な経費を下請けが請求できるよう、国がルールを定めていきます。
「生産性向上」の施策のひとつとして、建設キャリアアップシステムを活用し、現場管理の効率化を図ることが挙げられています。
建設キャリアアップシステムは、これまで可視化されていなかった技能者のスキルを、可視化するシステムです。
システムに登録された技能者にはICカードが発行され、一人ひとりの技能レベルが登録されることになります。システムに取得資格や就業履歴が蓄積されていくことで、会社や現場が変わっても技能がひと目で分かるようになります。
技能者にとっては、自分のスキルが証明できるというメリットがあり、どの現場にいても適切な評価と処遇を受けられるようになります。
事業者にとっては、技能者の就業状況を容易に確認できるほか、現場への入退場にICカードを用いることにより、効率的に勤怠管理が可能になります。
参考:一般財団法人建設業振興基金「建設キャリアアップシステム」
生産性の向上を目的とした施策には、もうひとつ大きな柱があります。それがICTの活用です。ICTとは通信技術を活用したコミュニケーションのことで、社外にいても資料を確認したり申請をしたりといったことをネット上でできる仕組みのことです。
これまで大手企業を中心に導入されてきたICTを、中小企業にも積極的に導入させることが目的です。工事単価の積算にICT歩合を導入することにより、ICT建機の稼働実態に応じた積算・生産が可能になります。
具体的にどのような変化が起きるのかを見てみましょう。例えばタブレットの活用にペーパーレス化や、ドローンによる3次元測量などが検討されています。
業務が効率化されることで、工事にかかる人員の削減や、労働時間の削減など、結果的に働き方改革に繋がります。
建設業界での働き方改革はまだ始まったばかりですが、もし週休2日制やICT導入が徹底されれば、労働環境は大きく変わるでしょう。
建設業界へのハードルが下がれば、今後の日本の建設業界の担い手が増えることも期待できそうです。
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