コラム:サブスクリプションとは。定額制の違いとメリット・デメリット
投稿日 : 2020.04.22
最近様々な業界で注目を集めるサブスクリプションサービス。ただの定額制サービスだと思っている方もいるかもしれませんが、ビジネスパーソンとしては理解が十分とは言えません。ビジネスに関わる人であれば、その特徴をしっかり理解しておきたいところ。
今回はサブスクリプションとは何なのか、定額制とどう違うのか紹介していきます。企業がサブスクリプションを行うメリットについても解説するので参考にしてください。
目次
サブスクリプションとは、料金を払うことで一定期間製品やサービスを利用できる形式のビジネスモデルのことを指します。なぜ、今サブスクリプションが注目されているかというと、その背景に「モノからコトへ」の消費行動の変化があります。これまでは商品を購入して所有することに重きが置かれていました。しかし今は、モノを消費するよりも、モノを使ってできる経験にこそ重きがおかれているのです。
例えばこれまでは「CD」と商品に価値がありましたが、今は「音楽を聞くこと」に価値がシフトしてきているのです。リアルな製品を扱っている提供しているサービスも、製品そのものよりも製品を使うことによる経験を提供していると言えるでしょう。
日本ではよく「定額制サービス」と訳されることが多いサブスクリプション。ユーザーからすればどちらも同じ意味ですが、定額制であることはサブスクリプションの一側面でしかありません。サブスクリプションは定額制であること以外にも、様々な特徴があります。
例えばサブスクリプションを表す言葉に「永遠のβ版」という言葉があります。サービスが完成されることなく、常にユーザーの満足度を上げるためにアップデートされるという意味です。従来の買い切り型のビジネスでは、商品を購入したあとのユーザーの同行を追うのは困難でしたが、サブスクリプションでは常にユーザーの同行をチェックできます。
例えばCDを買ったお客さんが、その後本当に聞いたのか、何回くらい聞いたかは分かりません。しかし、サブスクリプションならユーザーごとの好みの音楽を知れますし、「この曲が好きな人はこんな曲も好き」というデータをとることもできます。そのようにユーザーの動向から、よりユーザーが使いやすいサービスに進化させることができるのです。
このような点が従来の定額制サービスとは異なる点と言えます。例えば新聞は古くからある定額サービスの一つですが、あなたが何の記事を読んだか把握していませんし、それをサービスに反映してくれるわけではありません。これは定額制ではありますが、サブスクリプションではありません。定額制にすればサブスクリプションサービスになるわけではないので注意しましょう。
様々な業界で注目されているサブスクリプションですが、事業者にとってどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
サブスクリプションはストック型のビジネスなので、将来の売上がしやすいのが特徴です。売上が資産できれば予算も組みやすいので、適切な投資もできるでしょう。仕入れが必要なビジネスであれば、試算をもとに仕入れをすることで余分な在庫を抱えたり、逆に在庫が不足したりする事態を防げます。
サブスクリプションによってユーザーと継続的な繋がりが得られるため、ユーザーデータを集めやすいのもメリットです。ユーザーデータが集めやすくなることで、より精度の高いサービス改善ができるようになります。
購入すれば数万円する商品も、サブスクリプションなら数百円~数千円/月で提供できます。価格がネックでこれまで利用してもらえなかった方にも利用してもらえるため、ターゲットを広げることが可能です。また無料期間を設けることで、サービスに懐疑的な肩にも試しに利用してもらいやすくなります。
サブスクリプションを構築するには、デメリットもしっかり把握しておきましょう。
サブスクリプションはコンテンツやシステムを揃えるため初期投資がかかりますが、低額でサービスを提供するために最初は赤字になりがちです。利益を回収するには、ユーザーを増やし継続利用してもらう必要があります。新規のユーザーを獲得するのと同時に、解約率を下げる工夫もし続けなければなりません。
サブスクリプションビジネスの要は、ユーザーと近い距離で接する「カスタマーサポート」です。サービスを改善し、継続利用してもらうためには、カスタマーサポートが積極的にアフターフォローをしなければなりません。従来の売り切り型のビジネスではおざなりにされてきたカスタマーサポートですが、しっかりと投資をして戦略に組み込まなければなりません。
ここ数年で急激に数を増やしているサブスクリプションサービスですが、その中には正しくポイントを抑えていないために、早々に撤退したサービスもあります。「サブスクリプション=定額制」と安易に考えていると大やけどしてしまうため、サブスクリプションに興味のある方はしっかりポイントを抑えてビジネスを構築してください。
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