コラム:親子ペアローンとは?親子リレー返済や収入合算との違いも解説
投稿日 : 2020.01.17
親族で協力してローンを返済していく親子ペアローンという商品をご存知でしょうか。
不動産会社に転職すると、お客様のローンについて適切なアドバイスができるかどうかは非常に重要なポイントとなります。
本記事では親子ペアローンについてその仕組みやメリット・デメリットなどお伝えしていきます。
目次
親子ペアローンとは親族が互いに協力しながらローンを返済していく制度です。
親世帯、子世帯だけでは組めない額の融資でも、合算することでより大きな額の融資を受けることが可能となります。
親族で協力してローンを組む方法には、親子ペアローン以外にも「収入合算」や「親子リレー返済」といった返済方法があります。
まず、収入合算は親と子など異なる債務者の収入を合算できるという点は同じですが、収入合算は1本のローンを組むのに対し、親子ペアローンは2本のローンを組むという違いがあります。
また、親子リレーローンも収入合算と同じく1本のローンを組む点で親子ペアローンと違うのに加え、親子リレーローンはまず親世帯や主債務者となり、その後、親世帯が亡くなったり返済できなくなったりしたときに後継者たる子世帯にバトンを渡すという特徴を持ちます。
それぞれの違いをまとめてみると、以下のようになります。
親子ペアローン | 収入合算 | 親子リレー返済 | |
契約本数 | 2本 | 1本 | 1本 |
返済時期 | 親子で返済 | 話し合って決める | 親→子 |
団体信用生命保険 | 親子ともに加入 | 金融機関による | 子のみが加入 |
住宅ローン控除 | 持分に応じて双方適用 | 持分に応じて双方適用 | 持分に応じて双方適用 |
ここでは、親子ペアローンのメリット・デメリットを見ていきたいと思います。
親子ペアローンのメリットは、単独では難しい額の融資も親子で借りることで受けられる可能性があるということです。
親と子それぞれで3,000万円の融資を受けられるのであれば、合計6,000万円までの物件を購入できることになります。
借入額を大きくできる分、無駄に多額の借入をしないよう注意する必要があるといえるでしょう。
親子ペアローンは親子リレーローンや収入合算と異なり、別々にローンを組むことができます。
このため、それぞれが団体信用生命保険に加入することになります。
これにより、仮に親と子どちらかに不幸があったときには、その残債が0になるため、親子リレーローンや収入合算より総返済額を安くできる可能性があります。
親子ペアローンでは、それぞれの持分に応じて住宅ローン控除を受けることができます。
住宅ローン控除は上限額4,000万円と定められていますが、親子ペアローンを活用することで最大8,000万円分まで控除を活用できることになります。
特に親、子ともに十分な収入がある場合にはこのメリットを活かしやすくなるでしょう。
一方、デメリットとしては親と子それぞれがローンを組むため、それぞれに融資審査を受ける必要があるという点が挙げられます。
親子リレー返済の場合、親は年金暮らしの場合でも子に十分な年収があれば審査の承認を得ることができますが、親子ペアローンでは親と子双方に融資を受けるのに十分な収入がある必要があります。
また、融資が2本ということもあり、融資実行時に金融機関に支払う手数料や抵当権設定費用などの登記費用、金銭消費貸借証書に貼付する印紙代など、必要な費用が2倍となってしまう点もデメリットとして挙げられます。
最後に、親子ペアローンはどんなお客様に対しておすすめすべきなのかを見ていきましょう。
まず、親子ペアローンは親・子ともに融資審査を受ける必要があり、それぞれに十分な収入がある必要があることから、親子ともに十分な収入のあるご家族におすすめすべき商品だといえます。
例えば、単独で融資を受けても必要な額の借入をできるようなケースであっても、親子ペアローンを利用することで親子ともに住宅ローン控除を受けることでお得に利用することを考えてもよいでしょう。
立地のよい土地の上に大きな二世帯住宅を建てる場合など、トータルで必要となる額が大きいような場合に親子ペアローンの利用を検討するよう提案してみるとよいでしょう。
融資の額が大きすぎて不安になってしまうような場合でも、親子ペアローンで2本のローンを組むことで分散すれば安心できるということも考えられます。
不動産は額が大きいため、多くの場合ローンを利用して取引が成立します。
買いたい・売りたいと思っていてもローンの審査承認が得られなければ最終的に契約解除となってしまうこともあります。
そうしたことにならないよう、不動産会社の担当者としてはさまざまなローンの仕組みについて知っておき、最適な提案をできるようにしておくべきだといえます。
これから不動産会社への転職を考えている方や、転職したばかりという方は本記事の内容を参考に親子ペアローンについて知っておくようにしましょう。
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