コラム:コロナ禍でオフィス市場はどうなっているの?空室率の推移や主要企業の業績など解説
投稿日 : 2022.02.16
2020年初頭、新型コロナウイルスの蔓延により、経済の不況はもとより、感染対策の観点からリモートワークが推奨されていることもあり、オフィスビルの空室率は上昇傾向にあります。
本記事では、そうしたオフィス市場の現状について、空室率の推移を解説すると共に、オフィスや商業施設賃貸業を営む主要企業の業績など見ていきたいと思います。
目次
各種オフィスマーケットデータを取り扱っている三鬼商事によると、2022年1月時点の「東京ビジネス地区」空室率は6.26%となっています。
同データでは、2021年1月時点の東京ビジネス地区の空室率が4.82%となっており、1年を通して、ほぼ右肩下がりで下がっていっているといえるでしょう。
2021年/月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
---|---|---|---|---|---|---|
平均空室率 | 4.82 | 5.24 | 5.42 | 5.65 | 5.9 | 6.19 |
2021年/月 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
---|---|---|---|---|---|---|
平均空室率 | 6.28 | 6.31 | 6.43 | 6.47 | 6.35 | 6.33 |
ここで、同じく三鬼商事のオフィスマーケットデータから、近年の空室率を見ていきたいと思います。
まず、新型コロナウイルスが蔓延する前、2019年時点の東京ビジネス地区のオフィス空室率は1.55%と非常に低い数字です。
一方、コロナ禍の影響を受けた2021年の空室率は4.49%と大きく上昇。
2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | |
---|---|---|---|---|---|
東京ビジネス地区 | 3.61 | 3.12 | 1.88 | 1.55 | 4.49 |
新型コロナウイルスによるオフィステナント業への影響は非常に大きいものであることが分かります。
一般的に、オフィス市場では、空室率5%が景気を判断する1つの目安とされています。
そうすると、2021年の東京ビジネス地区における空室率は軒並み5%を超えており、オフィス市場は不景気であると判断できるでしょう。
とはいえ、リーマンショック後は10%を超えるエリアもあったことを考えると、現状では、まだそこまで悪い状況ではないと見ることもできます。
2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | |
---|---|---|---|---|---|
東京ビジネス地区 | 9.01 | 8.67 | 7.34 | 5.47 | 4.03 |
コロナ禍の影響がいつまで続くか、不透明な部分もありますが、今後状況が落ち着けば、オフィスビルの空室率も過去と同じように、下がっていくと考えることもできるのです。
オフィス市場の現況について、データを見ながら解説しました。
ここでは、オフィス市場の影響を強く受けることが予想される、オフィス・商業施設賃貸業を営んでいる主要企業の状況について見ていきたいと思います。
三菱地所は商業施設や公共施設、住宅等、さまざまな不動産の企画開発・販売・賃貸などを行う総合デベロッパーです。
日本を代表する不動産会社の一つといえるでしょう。
三菱地所単体のオフィスビル空室率のデータを公表しており、それによると、2020年3月の空室率が1.07%だったのに対し、2021年3月の空室率は2.35%となっています。
三鬼商事のオフィスマーケットデータと同様、コロナ禍の影響を受けているものの、空室率の上げ幅は少ないと見ることができるでしょう。
三菱地所の業績をみてみると、2020年3月期決算での売り上げは約1.3兆円だったのに対し、2021年3月期決算では1.2兆円にまで落としています。
一方、2021年11月に発表された2021年4~9月期連結決算では売上高10%増とするなど、回復の兆しを見せています。
ヒューリックは主に不動産の賃貸や売買を行う大手不動産会社。
2021年12月期の決算では、大手不動産会社各社が業績を落とす中、売上高を大きく伸ばすなど、不動産業界でその存在感を増してきています。
2020年12月期の決算をみてみると、ヒューリックでは全体の63%がオフィスビルからの賃貸収入。
「都心の主要エリア」、「駅近」などにオフィスビルを持つのが特徴で、2020年12月時点の東京ビジネス地区の市場平均空室率が約4.4%であるのに対し、ヒューリックでは0.8%(ただし、東京23区のみ)と非常に低い数値を実現しています。
ヒューリックのコロナ禍前、2019年12月期の売上高を見てみると、約3,500億円なのに対し、2020年12月期の売上高は約3,390億円と下がったものの、2021年12月期の売上高は約4,400億円と大きく躍進しました。
ちなみに、2019年12月期の営業利益は約880億円なのに対し、2020年12月期は約1,000億円と、売上高は下がっているとはいえ、営業利益は増加しています。
コロナ禍の影響が大きいとされるオフィス市場において、異例の業績を残しているといえるでしょう。
オフィス市場について、オフィスマーケットデータや主要企業における業績などご紹介しました。
オフィス市場全体ではコロナ禍による影響を大きく受けていると判断できますが、一方で、そうした中でも業績を伸ばしている企業はあります。
不動産業界への転職で、特にオフィス・商業施設賃貸業を営む不動産会社への転職を考えている方は、本記事でご紹介した方法で、業界や各企業の分析をしてみるとよいでしょう。
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