コラム:住宅ローン控除が0.7%に引き下げ?制度概要や引き下げの理由、実施時期など解説!
投稿日 : 2021.11.19
政府が住宅ローン控除の引き下げを考えていることをご存じでしょうか。
住宅ローン控除は、特に住宅を取り扱う不動産売買営業への転職を検討されている方は必ず知っておくべき制度です。
本記事では、不動産売買営業への転職を考えている方に向けて、住宅ローン控除について制度概要や現在検討されている優遇枠の引き下げについてなど解説していきます。
目次
まずは住宅ローン控除とはどのような制度なのか見ていきましょう。
住宅ローン控除とは、住宅ローン年末残高の1%分について、10年間、所得税や住民税から控除を受けられる制度のことです。
例えば、3,000万円分の住宅ローンを組んでいた場合、30万円×10年間で合計300万円分の控除を受けられることになります。
※実際には返済した分、控除額は減っていきます
住宅購入を検討している方にとって非常にお得な制度だといえるでしょう。
なお、住宅ローン控除は消費税10%への増税やコロナ禍への対応として、令和4年分まで控除年数が10年から13年に拡充されています。
住宅ローン控除は、かねてより逆ざや状態になることが問題視されていました。
住宅ローン控除はすでに数十年続いている制度で、金利の高いころから存在していました。
一方、ここ十数年、世界的に金融緩和政策が取られており、日本においてもマイナス金利制度が導入されるなど、金利水準は非常に低くなっています。
近年では住宅ローン金利が1%を切ることも珍しくありません。
こうした、金利1%を切る住宅ローンを借りても、住宅ローン控除では1%分の控除を受けることができます。
例えば、金利0.5%の住宅ローンを借りて、1%分の住宅ローン控除を受けられるなど「借りれば借りるほどお得」という状態にすることも可能なのです。
こうした「逆ざや」状態は是正されるべきという話し合いはこれまでもされてきています。
まだ検討段階ですが、政府は住宅ローン控除の控除率引き下げを検討しているようです。
今回の住宅ローン控除率引き下げは、先述した逆ざや解消のためのものだといえるでしょう。
逆ざや解消には、例えば控除率を住宅ローンの金利までを上限とするといった対策も考えられていました。
しかし、こうした制度を取ると業務が複雑化すると考えられたのでしょう。
住宅ローン金利の引き下げは現在のところ、2022年度にも検討されることになっているようです。
特に新築住宅を検討されている方は、住宅ローンを組むのは建物が建ってから、ということになるため、引き下げられた控除率となってしまうことも考えられるでしょう。
これから不動産営業への転職を考えている方は、上記のようなことを踏まえて、お客様に早く家づくりをしてもらうようにしてもらうよう提案したほうがよいといえます。
住宅ローン控除は控除率が見直される見込みとなっていますが、これは逆ざや解消のためのもの。
住宅ローン控除率引き下げで住宅市場が冷え込んでしまわないよう、控除期間の拡充も検討されているようです。
住宅ローンの控除期間は現在、10年から13年に拡充されていますが、これをさらに拡充して15年以上にする可能性があるとのことです。
まだまだどうなるか分かりませんが、期間が延びるのであれば住宅市場の冷え込み回避に十分つなげられる可能性があります。
控除率見直しと控除期間拡充は、特に比較的低所得の方には朗報だといえます。
というのも、住宅ローン控除はあくまでも「控除」のため、所得次第では控除額全ての控除を受けられない可能性があるからです。
例えば、所得税と住民税で毎年20万円納税しているという方は、住宅ローンを3,000万円借りて毎年30万円の控除を受けられる計算でも、実際に控除されるのは20万円までです。
この点、控除期間が拡充されれば、満額の控除を受けられなかった方程有利になります。
例えば、20万円×13年間だと260万円、30万円×13年だと390万円ですが、これが20万円×15年間だと300万円になります。
一方、所得が十分にあり、もともと30万円の控除を受けられていた人が、控除率の引き下げで25万円になった場合、25万円×15年間=375万円と、控除額が下がってしまいます。
不動産営業としては、上記のような計算を即座に判断して、お客様に最善の提案ができるようにしておくべきだといえるでしょう。
そのためには、制度について十分に理解しておくことが大切だといえます。
住宅ローン控除の制度概要と控除率引き下げについてお伝えしました。
控除率引き下げについては、現段階ではまだまだ検討段階です。
住宅ローン控除はお客様が受ける恩恵が大きく、住宅を扱う不動産営業への転職を考えている方は絶対に押さえておくべき制度だといえます。
本記事の内容を参考にしつつ、今後の続報をしっかり追っていくことが大切だといえるでしょう。
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